地をはう大学院生→ポスドク→国立大特任教員→私大専任教員

はてなダイアリーから引っ越ししてきました。昔の記録です。

アマチュア研究者

今日、元与党の衆議院議員の方に呼ばれて少しお話をしてきました。文教などを専門にされている方のようです。一通り、大学院生の生活などをお話しました。


お話を受けて気づいたのですが、大学教員の採用が減っているというよりは、減っているのは若い大学教員の採用だ、ということです。

こちらの文科省の資料の29ページ(図49、右下のルビでは63とあります)に、国立大学の37歳以下の若手教員数が漸減していることを示すグラフがあります。
「知識基礎社会を牽引する人材の育成と活躍の促進に向けて−科学技術・学術審議会人材委員会 第四次提言」 参考資料2
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2010/01/06/1287788_2.pdf

この「本務教員」とはフルタイムの教員のことらしく、近年増えている任期付きの職(特任助教)も入っているらしいので(別の資料での説明、文章真ん中くらい)、近年のものはかさ上げされた数値と考えていいでしょう。また私立大学の数値は、近年はやりの短期大学の四年制大学化が数値をかさ上げしている面があると思われます。
任期付きというのは、何年かそのポストで仕事すると、辞めてどこかにいかないといけないというポストです。ポスドクと同じで、もともとはいろんな研究室で仕事を経験し、視野を広げられるように、との意図で始まった仕組みなのですが、現実には不安定な生活を強いられるため短期的な業績稼ぎにインセンティブを持たせてしまうという、微妙な状況です。


さいごに雑談で、アマチュア研究者を増やすことによる科学研究の強化という方向性もあるんじゃないかというアイデアを思い出したので話しました。アマチュアの研究者が大学の資産(おもに図書館機能)を利用しやすいように、研究生の制度を拡充すべきじゃないかと。

たとえば大学の研究者が一日10時間×週7日研究に費やしたとすると、週70時間です。(大学ですと、運営業務などもありますので、一日10時間は難しいかもしれません。)
一方、アマチュアの研究者が日曜に7時間程度研究活動をしたとすると、週7時間です。
最新の研究をキャッチアップするための時間を考えると、単純に1/10の労働力とは行きませんが、アマチュア研究者の活躍を促進することで、低廉な費用で科学研究の促進が行えるのではと考えます。学位を取得後に教員や公務員として、あるいは民間企業で働く人が、週末研究をする、というイメージです。
もちろん高度な研究は難しいでしょうから、基礎的な情報を増やしていくタイプの研究が行われることになると思います。

設備を必要とする科学の分野では難しそうですが、私のいるナチュラルヒストリーなどの研究分野ですと、フルタイムではない、アマチュア的な研究者の活躍の余地があります。たとえば、天皇陛下秋篠宮殿下などが公務の合間に研究者として活躍されています。

もちろん無制限の利用が行われないよう、研究室への所属などはきちんと規定しなければならないと思いますが、人が少ない日本の科学研究において、力になるのではと思います。