地をはう大学院生→ポスドク→国立大特任教員→私大専任教員

はてなダイアリーから引っ越ししてきました。昔の記録です。

大学院生はサラリーマン?個人事業主?

博士課程の大学院生というのは、サラリーマンと個人事業主、二種類の顔を持つ。
 
研究室というヒエラルキーの中で生活しているという点では、サラリーマンに近い。
上から降ってくる用事をこなすことが重要な任務であり、サラリーマン的な力学も内部にあったりする。外と仕事するときには研究室の"のれん"の力を借りるわけで、そういう点もサラリーマン的。
 
一方で、一般的に、生活費や研究費(注1)は外から取ってこないといけない。仕事をしていれば自動的にもらえるわけではなく、そこは個人事業主に近い。
自分とその研究を売り込んで、競争に勝つと、資金を得る。学術振興会特別研究員制度や、様々な財団の奨学金、研究助成など。そういった資金が外部から得られない場合は、借金をして研究を続けることになる。赤字経営の個人事業といったところか。ただその借金には奨学金という名前がついていて、ありがたいことに債務超過でも貸してくれる(注2)。
 
そんなわけでサラリーマンと個人事業主、二つの側面があるのだけれど、最終的に自分のしている研究、あるいは専門分野が社会に認められるかどうか、すべてのリスクを個人で引き受ける点で、個人事業主に近いのではと思う。
 
 
注1:研究に使う機材は研究室共用のものが使えたりもするので、ある程度(かなり?)研究室から助けられることになる。お金のかかる実験系の研究室なら、ほとんど指導教員の研究費で仕事することになるかと。

注2:しかし、PDになると誰も貸してくれない。院生のうちはアーリーステージだから大目に見てもらっている、と解釈できるか…。

注:研究スペース、図書館機能の利用、経験豊かな指導教員によるコンサルティングなどが低廉な授業料(と大学の運営のための労働)で得られるので、本物の個人事業主よりは恵まれているかもしれない。