地をはう大学院生→ポスドク→国立大特任教員→私大専任教員

はてなダイアリーから引っ越ししてきました。昔の記録です。

雑感

垣間見える(ような気がする)とき

ある組織を単純に外から見ているだけでは見えないものが、ふと垣間見えたような気がしたとき、その組織に人間的なものを感じて親近感をもつ、そういうことがある。 ある企業の役員さんと雑談しているときに、彼がふと漏らした、社長の下で苦労してるんだよ〜…

中から見るか、外から見るか

年末年始、いろんな人と話題になった(と勝手に思ってる)のだけど、企業にしろ、大学や研究室にしろ、どんな組織であれ、中から見たら、腐りきっているように感じることが少なからずあるのだろうと思う。 けど、そんなでも、外から見たら何かしらの価値を提…

コミュニケーションコストがすべて・断絶を埋める作業

ある個人のした理解・判断について、その人自身がそれを真実であると確信できることと、他人を説得し、納得させられることの間には大きな断絶がある。それは個人に権力の集中したオーナー企業が集団統治のサラリーマン企業にスピードや長期的な戦略で勝る理…

アウトプット至上主義ってどうなんだろ

世の中効率化が叫ばれて、何であれ、結果を出せないものは滅びてしまえと指差される運命にある。 しかし、そういった風潮の中で、どうも短期的な(目に見える)アウトプットばかりが過度に重要視されているような気がしてならないのだ…。 大学の生活にどっぷ…

自動車学校の教え、その2

「ダンプの運転手は恥ずかしがってトレーラーの横に車を付けたがらない」 これ、何かというと、とある運転手さんから聞いたお話。 何年も昔、自動車学校に通っていたある日、送迎のバスで運転手さんと二人だけになったことがあった。彼は昔トレーラーの運転…

出張帰還、自分の外に装置をつくる話

先週と先々週の二週間、P国の先生と2人旅をしておりました。一応先生の付き添い&お手伝いではあるけれど、標本をいっぱい見れたし、いろんな人と話ができたし、なにより先生と割と深い話ができて楽しい旅でした。 歴史や経済、社会のことを議論できるマク…

黒澤明「生きものの記録」

原水爆の恐怖におびえ、家族のブラジル行を勝手に進めようとして拒絶される老人の映画。今日的な意義がありそうだと先日先輩が上映したので(途中からだけど)見たのである。 先輩は、とにかく家族の命を守りたいと思う老人の家族愛と、そんなことよりもと財…

円高・愛国的行為

海外からくる、大丈夫?的なメールはそのへんの一般人がいま日本をどう思っているかをよく示しているのである。客員教授の先生は毎日返信しないと家族が心配する…とのことで、滞在先で面倒くさいネットの設定を私とがんばる。さる人は一括返信して宛先を同じ…

ここ数日

自分は京都にいたので無事だった。でも情報を総合すると、自分と家族もこれから影響を受けることになる。もちろん被災地の人ははるかに厳しいことになっているわけで、そういう人たちの存在を考えたら気を引き締めていくほかない。 いま自分がそういった人た…

1日はだれにも平等に24時間…なわけないでしょ

「1日は誰にも平等に24時間与えられている」 とよく言われるが、これは間違いだ。 たとえば、もし自分が奴隷商人に売られてしまったら、自分の時間はほとんどないはずだ。命ぜられるままにタスクをこなす日々が続く。命がけで逃亡するか、こつこつお金をた…

みんなが外向きになったら困るでしょ

「若者は内向き」の欺瞞 すこし前のエントリーだけど、至言だなぁ、と思う。 しかし世間では内向き内向きというが、周りを見ているとあまりそうは見えないんだよなぁ。地方から都市へ、日本から海外へ、資本や企業、そして人がどんどん出て行っていないか?…

これでいいと思えることの大切さ

昨日は客員教授の先生のセミナーと懇親会。それに便乗して、午前中は研究室のメンバーによる、先生への自己紹介を兼ねた研究発表会。丸一日分のセッティングをしていたこともあって、色々不手際はあれど、とりあえず終わって一安心といったところ。レーザー…

地方は日本の「課題先進地」

田舎の不動産の広告を見ていると、一昔前なら考えられなかったような価格で中古の不動産が売りに出されていたりする。真っ当なマンションが金食い虫の古いリゾートマンションみたいな価格で投売りされているのをみると、わずかずつとはいえ人口が減少してい…

いい加減、「研究者個人の自由な発想に基づく研究」って言い方止めないか…

いい加減、「研究者個人の自由な発想に基づく研究」なんて言い方止めないか…?と最近思う。 基礎研究の説明で耳にする機会の多いこの表現。(トップダウン型に対して)ボトムアップ型のプロジェクトを示す言い方として多用されている。けれど、これって一般…

ゼロからの構築、体系の中での進歩

先週の話だけど、大阪で勉強会的なものに出席した。以下、飲み会での話から思ったこと。 先行研究とかそんなの関係ない、ゼロからの構築…。 研究なんてことに興味を持つ人は、誰しもそんなものを目指すんだろう。 でも、科学に限らず、何らかのムーブメント…

思考の分解

人に自分の考えを説明するというのは結構面倒なものである。人間の思考というのは「跳ぶ」のに対し、人間の理解は、思考がうまく共鳴したときを除いて、必ずしも同じだけの跳躍力を持たない場合が多い。 というわけで、結論に至るまでの、自分にとってもブラ…

チキンオーバーライスとケバブプレートとANZAC

NYの街角でよく売られていたチキン/ラムオーバーライスやチキン/ラムジャイロ。安くてうまいのでよく食べていました。 そして今日改めて気づいたこと。大学生協の食堂で売られている、"ケバブプレート"、"ケバブラップ"、これがほぼ同じ食べ物だったのでし…

マイノリティとか歴史の重みとか

先日日本に帰ってきました。家のシャワーの感触が懐かしかったり、やっぱこのシャンプーだよなぁ、と普段使いのシャンプーに感激したり。 それでもあちらは非常にいいところで、将来日本がどうしようもなくなったら、向こうに移住してもいいかなぁなんて思っ…

NYからすこしお出かけ

週末、近郊の(と言うには少し遠い)街へ出かけてきて、今その帰り道のバスの中。バスでネットが使えるのはありがたい。 バス停で、コロンビア大で地震学をやっていたという名誉教授のおじいさんに出会った。小さな街に出かけると大学教員の人に出会う、とい…

火と水の出る冷房

先日の話です。 このところ私が通っているアメリカ自然史博物館の標本庫、作業場の壁には3つ、古ーい冷房がついていました。 ずっときゅるきゅるとうるさかった右のひとつ、ついに火を噴いたらしい。それがいつかの木曜夜。 翌朝は施設係?の人が取り外しや…

のんびりした暮らし

昨日は自然史博物館のIDカード(写真つき)を入手。むふふ。 自然史博物館ではvisitorが標本庫で仕事できるのは8:00から16:00なので、夜は本当にゆっくりできる。まあデータ整理とかいろいろやるんだけど。出かける前何日間かは多忙でほとんど眠れず、ひ…

ソーシャルフィルタリングという名の寄生

ソーシャルフィルタリングされた"質のいい"コンテンツだけを見ることで時間を有効利用する、という考え方がある。 グーグルは上のほうに出てくるサイトに重要なものが多い。ニコニコ動画は再生数の多いものを選べば外れが少ない。 受け手は何の気なしに受け…

大学院生はサラリーマン?個人事業主?

博士課程の大学院生というのは、サラリーマンと個人事業主、二種類の顔を持つ。 研究室というヒエラルキーの中で生活しているという点では、サラリーマンに近い。 上から降ってくる用事をこなすことが重要な任務であり、サラリーマン的な力学も内部にあった…

今回の事業仕分け

昨日の仕分けの評決結果がでた(2:30に)。まず、官僚の皆さん夜中までご苦労様。二時半まで仕事って研究機関みたいだ。 http://www.shiwake.go.jp/shiwake/detail/2010-04-26.html評決結果を読んで気付くのは、まとめコメントがずいぶん紳士的になっている…

誰にもまねできない技術

よく、誰にもまねできない技術(あるいはビジネス)、なんて台詞を聞くことがあるが、そんなものはまず存在しない。同じ人間だもの。 参入障壁が高いか低いか、それを乗り越えようとする意思を相手が持つか持たないか、それだけ。 ブランディングが後者に効…

ジャーナルの利用

昨日は大阪で勉強会?みたいなのに参加。昨日はNature photonicsのエディターさんのお話だった。先月は文科省の鈴木寛さんの話が聞けたりと、なかなか勉強になる会だ。 飲み会でも話題になったんだけど、ジャーナルのオープンアクセス化は進んでいくんじゃな…

科学者の理科離れ

今朝は遠路来られた方と朝粥をご一緒。朝って予定入りにくいから、人と会うにはかえっていい時間なのかもしれない。 先日マスコミの人に、最近「科学者の理科離れ」がある、なんて言葉を言われた。異分野のことに関心を持たず、科学全般の知識があまりない研…

新幹線の車窓から

日曜は日帰りで東京。最近なんだか月1、2回のペースで出かけているなぁ…。新幹線で東京に行くとき、(起きていたら)必ずすることがある。それは、車窓からふるさとの街を眺めること。 のぞみで通り過ぎると一瞬なんだけど、それでも色々と思い出す。 あの…

文科省訪問&次官さん

先日、文科省事務次官の坂田東一氏や、大学改革や人材育成を担当されている官僚の方々とお話する機会を得ました。現場の声を届けよう!ということで。 道をご存知の方に案内してもらいながら、一緒に例の活動をした先輩と二人で文部科学省を訪問。偉い人たち…

地を這う日々

何があろうとも、頑張っていればいつか認められるものだ。足を引っ張られることもある。つらいこともある。けど、環境に潰されないよう、心を抑え、ひたすら目の前の障害をかき分けていけば、道は開けてくる。 地を這う日々も、いつかは大空へ飛び立つ助走な…